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時たまラクガキとテキストを綴ってる腐った日記です。此方で頂いたコメントのお返事は、PCサイトのお返事と共通させて頂いています。お手数ですがリンクからご移動下さい。

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ちびっ子クラウド奮闘記。4

ミッドガル中枢にある、神羅ビル49階にあるブリーフィングルームに呼び出された1stソルジャーのセフィロスとアンジールは、ラザード統括から発せられた言葉に耳を疑った。

「ニブルヘイムへ向かったソルジャー2ndからミッション離脱の緊急連絡が入った」

「ニブルヘイムだと!?」

「……お前の子犬か?」

ニブルヘイムにはアンジールの弟子であるザックスを中心とした2ndソルジャー四名が向かっていた筈だ。この四名はアンジール部隊の者達である。
ニブルヘイムには世界屈指の凶悪モンスターがいることで有名だ。そこでの任務での緊急離脱という事は、状況的にかなりヤバイという事であった。

「ザックスたちは無事なのか?」

「四名ともに無事を確認しているが、全員瀕死だそうだ。急遽スキッフで救助に向かうことになっている」

四人が生きているという言葉に、アンジールは全身の力が抜けていくように深いため息を溢した。
しかし、それだけではここにセフィロスがいることの説明がつかない。アンジールの弟子の事ならば、アンジールだけで十分だからだ。

「俺がここにいる理由は?」

「察しが良くて助かるよ、セフィロス。ニブルヘイム魔晄炉近くでドラゴンと遭遇。ドラゴンは繁殖期間中らしい。卵の存在が確認されている。人里近いこともあり、君達二人、排除にニブルヘイムへ向かって欲しい。そして科学部門がドラゴンの卵をサンプルとして持ち帰ってくるようにと」

「……待って欲しい。ザックスは子供の捜索が任務だったはずだが」

「そのことだが……」

ラザードが説明する間もなく、後ろからソルジャーではない声がする。

「その子供に関しての詮索は結構だ」

現れたのはタークスのツォンとシスネだった。タークスがここに来ることなど無に等しい。どういう事態なのかとアンジールはラザードを見て説明を求めた。

「ザックスのお陰で子供の存在が確認できた。彼らはそれで任務達成している」

「ドラゴンの存在は」

「我々タークスが子供を捜す前に、ソルジャーにニブルヘイムのモンスターを少し掃除してもらいたかったのだ。ドラゴンが居たのは想定外だった」

不慮の事故だ、と言われているのが分かる。だが、ソルジャーたるもの、任務に向かえば不慮の事故など当たり前だ。仕方ないといわれてしまえば仕方ない。だが、アンジールはこみ上げる怒りを押さえ込み、ラザードに向き合った。

「任務の件、了解する」

「ああ、俺もだな。了解する」

「セフィロス、アンジール。0200にヘリポートへ。ジュノンへ向かい、そこから船に乗り継いでくれ」

「わかった」

ああ、それから、とラザードが続ける。

「今回の任務にザックス達の救助に一般兵と救助班が同行する。それと、タークスも」

「……子供とやらか」

タークスは世界各地から、ソルジャーのスカウトを行っている。それに見合った子供ということだろうか。

「場合によっては、君達の力が必要になるかもしれない。その時はタークスの指示に従って欲しい」

「……どういうことだ」

「子供の抵抗が激しかったら、君達の力が必要になるということだ」

「”子供”だと聞いたが?」

「その子供のそばで、召還獣”オーディーン”が確認されている。ザックスいわく、この子供が召還しているとのことだ」

「なんだと?」

ソルジャー二人は、己の耳を疑ってしまった。だとすると、相当稀有な存在がニブルヘイムにいることになる。
タークスが出てくるというのも頷けるものだった。

「ザックスがこの子と友達になるんだと息巻いているが、アンジールからターゲットと必要以上に関わるなと忠告しておいてもらえるかい?」

ラザードがにっこり笑いながら放った言葉に、アンジールはあの馬鹿者……と頭を抱えていた。
だがその様子は、最初に比べて、とても安堵していた様子だった。
相変わらずのザックスの様子に、瀕死と聞いていたが無駄な心配だったかもしれないと苦笑する。

だが、瀕死の状態で生きてはいても、満足な治療が行われなければその命は危ない。
任務を請け負ったソルジャー二人とタークスは、急いでヘリポートへと向かった。








逆行の方の校正が帰ってくる前に……と打ち込んでいたので、予定とは違って先にこっちが出ることに。すみません…汗

字数の関係で、此方のブログで何回か上げたら、まとめてピクシブの方へ上げると思います。
なので、ブログの方とピクシブの方では巻数が違いますが、ご了承頂けたら幸いです。

ところで公式で無印召還獣だと「オーディーン」表記なのに、CCだと「オーディン」だから困ってます。流石にこの辺は統一して欲しい(笑)

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ちびっ子クラウド奮闘記。3

どさり、とオーディーンは片手に抱えていた四人分の荷物をベッドの脇に置く。

騎士のその体格は、大人三人分くらいありそうな程の大きさだった。兜の角が、既に天井に着きそうだ。こんなに身近でレアもレアなオーディーンを見ることなんて、縁があろうと正直見たくないだろう。
オーディーンの攻撃は一撃死だ。敵として、その姿を見た者は確実に次の瞬間には殺されている。
2ndの魔法力じゃ召還できるかも分からない。いや、その前に存在は認知されていても、オーディーンはあまりのレアぶりにおとぎ話化していたくらいなのだ。

ソルジャー四人は固まったままだが、その中でもザックスだけは、意識を失う前にも一度目にしていたので直ぐに持ち直した。
だが、どうしてもその騎士の存在に畏怖を覚えるのは仕方がない。


「あー……。ご家族の方、ですかね……?」


ただ流石と言うか、場違いな台詞を放つのだけは忘れなかった。


ザックスの言葉にオーディーンはちらりとその視線をこちらに向ける。
流石に目が合うとなると、硬直して全身に冷や汗をかき、口すら開けなくなった。
しかし、とたとたと走ってきたクラウドの存在が、オーディーンとソルジャー達の間にあった空気を変える。


「……ありがと」


荷物を運んだオーディーンを足元から見上げ、クラウドがお礼を言う。するとどうだろうか。
オーディーンはクラウドの頭をくしゃりとかき混ぜ撫でている。
そうして見ていると、ただの大きなお父さんとその子供だ。
ザックスはやはり、クラウドがオーディーンを召還しているのだろうと確信に近い勘が働いていた。


「あー……、クラウド、これ、召還獣だよな?」

「……しょうかん、じゅー?」


ザックスの投げかけた言葉にクラウドはきょとんとし、こてんと首を傾げた。
その様子に、ザックスは嫌な予感がした。


「マテリア、持ってないのか?」

「まてりあ……」


クラウドはオーディーンを召還獣として認識していないのかもしれない。いや、認識というより知識すら持ち合わせていない可能性がある。見るからに子供なのだから仕方がない。
そのことに気付いたのか、カンセルも問いかける。


「このくらいの紅い綺麗な玉、知らないか?」

「………」


カンセルがマテリアの大きさを親指と人差し指で円を作って形を示すと、クラウドはちらりとオーディーンを見上げた。
マテリアの存在を教えていいのかとオーディーンに聞いているのかと思ったら、オーディーンから殺気が迸った。


「ち、違う! ”そういう”んじゃないんだ!!」


これは確実に悪い意味で受け止められたと慌てて弁解するザックスに、他の三人も真っ青な顔をして必死に頷いている。


「オーディーン」


オーディーンの殺気に気付いたクラウドが、駄目だと諌めている。
次の瞬間、殺気が消えた。やはりクラウドの言うことを聞いている。そのことに気付いた四人は、驚愕しながらも目の前の現実に納得するしかなかった。


「やっぱり、クラウドが使役しているのか」

「召還獣の持続というか、戦闘以外でいうことを聞いてくれるなんて聞いたことないぞ……」

「ってか、オーディーンってほんとにいたのか……」


自分達を助けてくれたのはクラウドとオーディーンだということが、ザックス以外の面々も分かったようだった。
何か考え込んでいたザックスは、意を決してクラウドに聞いた。


「なあ、クラウド。ここ最近、オーディーンと一緒にニブル山に登ってたか? その時、誰かに会わなかったか?」

「山? 山にはいつもいるよ。……少し前に、おじちゃん達を助けたけど」

「……それか」


もしかしたら、そこからタークスに噂がいったのかもしれない。
子供の容姿が記載されていなかったのは、噂話の真相をソルジャー達に確かめさせたかったのだろうか?


「ザックス、やっぱりこの子……」

「タークスに確認しないと何とも言えないけど、多分クラウドで確実だと思う。オーディーンが目的なのか、クラウドのスカウトが目的か……」

「お兄ちゃん達、オーディーンに用があるの?」

「うーん、違うかな? 多分、俺達はクラウドを探してたんだと思うんだ」

「オレ……?」


知り合いでもない人が、何故自分を探しているのか分からないという顔をしていた。
その事に苦笑しながら、ザックスは説明する。


「多分、クラウドが前に助けたおっさんから、俺の会社に連絡がいって、クラウドにお礼がしたかったから探してた……とかかなぁ?」


最後は確実に違うだろうが、とりあえず当たり障りなく適当な事を言ってみた。
タークスは調査課だ。調査とスカウトが主な仕事ということは、タークスに所属している赤毛に聞いている。違うとしても事の経緯を報告書にまとめれば、確実にクラウドを欲しがるだろう。


「お礼……?」

「ん?」


ザックスの適当に言った言葉を復唱したクラウドの様子が、どうもおかしい。
何だか心外というか、機嫌悪そうに見える。どうしたというのだろうか。


「……お兄ちゃんはオレを探してたの? ドラゴンじゃないの?」

「えっ?」

「前に助けたおじちゃん達は、ドラゴンの卵を盗もうとしたよ。だから殺されかけたんだ」


その容姿に似つかわしくない言葉を放つ子供に、ザックスたちは目が点になる。


「お兄ちゃん達、ドラゴンに遭ってるよね。本当にオレを探してたの?」


先ほどまで穏やかに見えていたクラウドの目線が、獣の様に鋭くなり此方を睨んでいた。そしてクラウドの様子に連動するかのように、隣に控えていたオーディーンの殺気も復活する。
しかし、自分達はドラゴンの情報を教えられていなかった為に全滅しかけたのだ。
青くなりながらザックスは慌ててドラゴンがいた事など知らなかったと伝えるが、クラウドはそれだけでは信じていないようだった。


「俺達、最初はニブル山に迷い込んだ子供を捜す手伝いだと思ってたんだ。だからくまなく山を捜索してたんだよ。だからドラゴンがいるなんて全然知らずにいた。ドラゴンがいるって知ってたら、俺達よりもっと強い奴らが駆り出されるし!」

「まて、ドラゴンの卵を盗もうとしただと? その助けたおっさん共は密猟者か?」

「みつ、りょう?」

「動物とか沢山殺して、角とか毛皮とか卵を盗んで売る人達だよ。その日、生きる分とかの狩りじゃなくて、無駄に沢山殺して生態系を壊すんだ」


難しい言葉になると流石に分からないようだが、カンセルの説明に、なんとなく意味はわかったらしい。
人里近い山にドラゴンが住み着いていたなんて、村人達は知っていたのだろうか?
だったら何故最初に教えてくれなかったのだろう。その疑問が顔に出ていたのかはわからないが、クラウドがその謎を教えてくれる。


「……村のみんなは、ドラゴンが住み着いてるなんて知らない。ここ最近なんだ。あのドラゴンが来たの」

「そうなのか?」

「オレ、ニブル山よくいるから。なんでドラゴンがここに来たんだろうって思ったら、そのドラゴン傷だらけだったんだ。多分、どこからか逃げてきたんだと思う……」

「……」

「よく見たら、卵抱えてたんだ。だから、遠くから回復してあげて……」

「”回復してあげて”?」


クラウドの説明の中で、有り得ないことを聞いた気がすると、カンセルが思わず復唱してしまう。それに気付いたザックスが、そういえばクラウドがケアルガを使っていたのを思い出した。


「あ。クラウドは魔法も使えたな」

「えええええ!!?」

「召還獣扱える位だから魔法も使えるだろうけど……マジか……」


ショックだといわんばかりの他のメンバーは、凝視するようにクラウドを見てしまう。
それに居心地の悪さを感じたのか、クラウドは途端に黙ってしまった。


「まてお前ら、クラウドの話が途中だろ! そんなクラウドをまじまじ見てんじゃねーよ。減るだろ!」

「減るのか!?」

「あ、言葉が減るのか。ごめんな」


ザックスが諌めたと思ったらこれだ。上手い! なんていうエッサイの笑いにクラウドは吃驚したのか、自分達を睨んでいたのも忘れて、きょとんとした。
カンセルはそんな周囲に呆れたのか、ため息を吐いている。
どうも彼らのいつもの調子が戻ってきたらしい。そんな彼らに押されながら、クラウドはたどたどしくも説明を再開した。


「……おじちゃん達が殺されたら、村のみんなにドラゴンがいるのがバレて殺されるって思って助けたんだ……。でも、”みつりょうしゃ”だったのか……」

「クラウド、その考えは当たっているぞ。助けて間違いはなかった」

「……ほんと?」

「ドラゴンがいるって騒がれたら、俺らより強い奴が来てたからな。助けてくれたクラウドの事を言ったのは、多分密猟者だっていうのがバレたら逮捕されるからだろう。現に俺達はクラウドのことしか知らなかったし」

「むしろ、こんなに人里近い所にドラゴンは来ないんだよ。相当追い詰められてたな……。ドラゴンが傷だらけだったっていうし、そいつらドラゴンを追ってきたんじゃないか?」

「ああ。しかも卵を盗むとか、親が暴れて当然だろう。繁殖期間中は、絶対攻撃なんてしないぞ。しかも人里が近いなら尚更だ。被害が出たら甚大じゃない。だが、クラウドの存在を持ちかけて神羅に調査させた所をみると、密猟者達はあわよくばドラゴンを……と思ってたかもしれないな」

「……お兄ちゃん達は、ほんとにドラゴンの卵が欲しいんじゃないの?」

「違う違う。むしろ俺はクラウドと友達になりたいかなー」


いきなりのザックスの言葉に、えっ? と言葉を失うクラウドがいた。いや、言葉を失ったのは他の三人も一緒だった。


「お前、また……」

「ザッ君、ほんと欲望に忠実だね。いつものことだけど!」

「えー? だって、タークスがクラウド探してんだぜ? 絶対スカウト目的だろ? だったら俺達の後輩になるかもしんねーじゃん!」

「……お前はどこまで妄想が飛躍してんだ?」

「俺としては、後輩になる前に友達になりたいの! 後輩にならなくても友達になりたいの!! だって超すげーじゃん!! こんな召還獣呼べて魔法も凄くてさ!!」

「あー、その前にクラウドは俺らの命の恩人なんだぞ」


カンセルがザックスを嗜めると、分かってるよ! と噛み付く。
ザックスは師である1st達から、子犬とあだ名を付けられているということを知らない。
だが、そんなあだ名を付けられてしまうほどに人懐っこい子犬に見えてしまうのは仕方ないだろう。
今まさにクラウドに興味津々なザックスには、見えない尻尾がはち切れんばかり振られているように見えるからだ。


「クラウド、どうかな? 俺と友達になってくんねぇ? 嫌?」


ザックスはクラウドの目線に合わせてお願いするどころか、むしろもっとしゃがんで上目遣いは忘れない。そしてお願い! と手を合わせている。
そんなザックスに吃驚したのか、クラウドは真っ赤になっていた。

お? 好感触? と思ったら、


「と、ともだちなんて……きょうみないね!!」


真っ赤になってオーディーンの後ろに隠れるクラウドがいた。


そして振られたとわかったザックスが、ずーんと効果音がしそうなほどに落ち込み、他の三人が爆笑したのだった。







違う世界での校正中の息抜きにこっち書いてたら夢中になってしまってた……。
こっちの続きは、また長くなりそうなので、違う世界での方を更新してから書きます。

拍手有難うございます!!
リアルタイムで書いてるので凄く励まされてます……。;///;

拍手[7回]

ちびっ子クラウド奮闘記。2

パチパチと火が爆ぜる音がする。
ミッション中は、あまり眠れない。それに付け加え、眼が覚める前に周囲の音を認識する癖がついていた。だが、今いる周囲の気配は優しいもので満ち溢れている気がする。そして、どこか懐かしい空気が漂っていた。自分は非番だっただろうか?


(あれ……俺……?)


瞬時に死を間近に感じていた事を思い出す。
本能のまま勢いよく上半身を起こそうとして、グラリとふらついた。
上手く身体が動かない事に気付いた。酷い貧血を起こしているらしい。その上、ミッション中では有り得ないベッドの上に寝ていることにも気付いた。
ここはどこだろうか。血の巡りの悪い頭は重く、危機的な本能だけが先走って軽いパニックに陥ってしまう。


「まだ動いちゃだめだよ」


少し下っ足らずな感じのする幼い声が頭上から聞こえてきた。自分の顔を覗き込んできたのは、意識を無くす前に見た綺麗な子供だった。


「お……?」

「お兄ちゃん達、四人で全員? 一応助けたよ。でも、みんなまだ寝てる」

「あ……お前!」


ブラックアウトする前に見た、金髪碧眼の綺麗な顔だった。オーディーンに乗っていた子供だ。
状況を思い出し、ザックスは思わず叫んだ。しかし次の瞬間、ぐわんぐわんと頭に声が響いて呻く。


「みんな出血が酷かったんだ。二人は火傷。……ドラゴンに遭った?」

「あ、ああ。助かったの、か……?」


ザックスは状況を確認するべく、周囲を見渡した。もしかして、ここは山の入り口にあったニブルヘイムだろうか?
石と板張りの家らしい。二つのベッドに二人ずつ、自分を含め仲間達が寝かされていた。
ニブルヘイムは一年を通して寒い地方だが、今の時期はまだ寒くない。だが、暖炉に火が入っている所を見ると、貧血を起こして体温低下を起こしていた自分達のためだと思われる。そして、とても美味しそうな匂いもしていた。

助かったと思った安堵と、その匂いに気付いた途端、気が緩んだのかザックスの腹が場違いに鳴った。


「お、おう……」

「おなか空いてる? シチューあるよ、食べれる?」

「えっ! まじで? 食べる!!」

「待ってて。持ってくるね」


パタパタと子供特有の走りで、炊事場に向かう姿をザックスは半ば呆然と見送った。
意識を無くす前に見たオーディーンの存在が気がかりだが、そんな事を言って、今何か起こったらこの状況では対処できない。それに不確定要素が多すぎる。
オーディーンと子供の関係性が非常に気になるが、子供の機嫌を損ねて今追い出されたりしたら、満足に動けない自分達はまた死に直面する可能性が高いだろう。現時点では仲間達の意識すら戻っていないようにも思う。状況的に不利だ。

とりあえず、様子をみながら行動を考えた方がいいかもしれない。いや、先ずはシチューを食べてから考えようと、ザックスは思考するのを止めた。
ただ、自分達の武器だけは所在を確認する。しかし、ザッと見渡すが、それらしいものは見つからなかった。

(これ、ほんとどういう状況……?)

ザックスは考えることが苦手だ。そういうのは全部他の仲間に押し付けることが多い。
まだ眼を覚まさない仲間達を見る。彼らも半死半生だったらしい。四人、共に体中に包帯が巻かれていた。所々、未だに血が少しにじみ出ている箇所もある。
大きな傷は一通り肉が盛った状態で塞がっているが、今だ完全に癒えているわけではなかった。
身体中が軋み、悲鳴を上げている。魔法で完全に癒すことができないほど、皆一様に残りの体力が無かったらしい。


「おーい、生きてっか?」


隣で寝ていたカンセルの頬をぺしぺしと軽く叩く。
すると、うめき声と共に覚醒した。


「……ザックス?」

「おー。生きてたかー」

「勝手に……殺すな」

「いや、俺もお前も今回ばかりはマジ死に掛けたわー」

「あぁ……」


うめき声と共に、カンセルは上半身を起こそうとして断念した。しかし、自分の身体中をまさぐって何かを探している。携帯依存症のカンセルが何を探しているかは直ぐにわかったが、苦笑するしかない。


「俺の携帯……?」

「あー、武器も全部行方不明。あの子に聞いてみないとわかんねーな」

「……あの子?」


パタパタという足音と美味しい匂いがして、その子が戻ってきた。


「もう一人、起きた?」

「起きた起きた」


案の定、子供を目にしたカンセルがビシリ、と固まった。そうだろう。この子供は本当に綺麗な子供なのだ。特にこんな僻地で金髪碧眼なんて珍しい。金色に縁取られた大きな碧眼の目は、吸い込まれそうな錯覚を起こす程に綺麗だ。

小さな子供は特に可愛い、と形容しがちになるが、そういうのをすっ飛ばして綺麗、という言葉が出てくるほどに。だが、ちょっとばかり見た目の年齢と違って無愛想というか、無表情で淡々としている気がする。この時期の子供はうるさいだけが取り得ではないだろうか? ザックスは昔の自分と重ねてみた。もしかして、この子供は人見知りか?

ザックスにシチューが入ったお皿とパン、スプーンを渡し、子供はカンセルを覗き込む。


「おなか空いてる? シチュー食べれる?」

「え? あ、あぁ……?」


状況がわかっておらず、混乱しながらも返事をするカンセルに、ザックスは噴出した。



その後、程なくして残りの二人も目を覚ました。
全員、食事をし、安堵の息を吐く。誰もが死を感じていた。どうして自分達が助かって、ここにいるのかわかっていない。
場を改めて、ザックスは子供に自己紹介し、状況を聞くことにした。


「俺の名前はザックス。あっちがセバスチャン。その隣がエッサイ。で、これがカンセルね」

「これとか言うな、お前」

「で、さ。名前を聞いてもいいかな?」

「……クラウド」

「クラウドか! 改めて、俺達を助けてくれてありがとう」

「えっ!?」

「まさか、俺達を助けてくれたの、クラウドなのか?」

「…………」


ザックスのお礼に、クラウドは何も言わない。
他のメンバーは、こんな子供が自分達を助けたのかと目を疑っている。


「俺達を助けてくれたのはクラウドだよ。ちなみに、お前らも助けてくれって、俺がお願いしたんだ」


それを聞いて他の三人の目が驚きに彩られた。神羅のソルジャー四人がかりで瀕死の状態に陥っていた状況から、この8歳位の子供がどうやって自分達を助けたというのか。
ニブルヘイムの山に入り込む事自体が無駄に死に行くような行為に等しい。自分達を助けたのは他の大人たちではないのかと尋ねるが、それにもクラウドは黙ったままだった。

いくつかの質問をするが、クラウドからは無言の回答しか得られなかった。
そこでザックスは考えた。オーディーンを召還したのが別にいるのだろうかと。
いや、それよりも質問の仕方が悪いのかもしれない。簡単な返事で済むよう、簡潔に質問をすることにした。


「クラウド、お父さんかお母さんは、ここにいないのか?」

「……いない」

「あー、えっと。俺達の荷物って、どこにあるか知ってる?」

「あ、それはあっち。持ってくる」



やはり受け答えは歳相応なのかもしれない。子供に質問攻めにしたら泣き出しそうだ。
パタパタと足音をさせて走っていくクラウドの後姿を四人で見守りながら、その姿が見えなくなると、皆ため息をこぼした。


「……ザックス、ほんとにあの子が俺達を助けたのか?」

「あぁ。……なぁ、俺達のミッション内容、覚えてるか?」

「タークスの依頼だろ。ニブルヘイムの山にいる8歳位の子供……え?」

「……多分、あの子だ」

「迷子の捜索かと思ってたぞ、俺」

「それだったら、事前に訪れた時に、この村の住人が騒ぎ立てないか? 子供を捜してくれって」

「あ……」


ザックス達が山に入る前、訪れたこの村では、歓迎しない余所者を射るような目で遠巻きに見られていたことを思い出す。
さっさと用事を済ませて帰ってくれと直接、村長にも言われたくらいだ。


「タークスに連絡するか……?」

「子供の容姿が記載されてなかったし、あの子だって断定は出来ないだろ? それより、俺達のこの状況じゃミッションは確実に失敗だし」

「とりあえず、帰還連絡するしかないな……」


ミッション失敗による叱責はないだろう。なんせ、1stが出るのが当たり前のようなドラゴンがいたのだ。生きて帰るだけ奇跡的だと思う。
確実にこのミッションはランクが上がるだろう。

しかし、ザックスだけは思う。タークスが探しているのは確実にクラウドだろうと。
クラウドに直接オーディーンとの関係性を聞いてもいいのだろうか?
いや、もうちょっとコミュニケーションを図って仲良くなってからの方が教えてくれるんじゃないだろうか? と、ザックスが思考してる時にその音はした。


ガチャリ、ガチャリ、


重量感のある、甲冑を纏っている者が歩いているような足音だ。
ビシリ、と、それを見た四人が固まった。



ソルジャー四人分の荷物を片手に軽々と持った、オーディーンがそこにいた。

拍手[3回]

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