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時たまラクガキとテキストを綴ってる腐った日記です。此方で頂いたコメントのお返事は、PCサイトのお返事と共通させて頂いています。お手数ですがリンクからご移動下さい。

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ちびっ子クラウド奮闘記。10

ニブル山の頂上付近で、空から崖に駆け下りる。もう少し先にドラゴンがいるが、一旦ここで落ち着いた方がいいだろうとオーディーンは手元を覗き込む。

6本足のオーディーンの愛馬、スレイプニールの上で、クラウドはオーディーンにしがみ付いたまま、その小さな肩を震わせていた。
泣き声すら気丈に押し殺す小さな子供の背中をオーディーンは優しく摩る。
久しく人と関わっていなかっただけに、心を開きかけた分、そのショックは大きい。
やはり自分は人とは相容れないのだと8歳ながらに漠然と理解していた。



自分の家系に代々伝わってきた赤い宝玉、それをザックス達はマテリアだと言っていた。
両親が事故で死んで、クラウドの周りには誰もいなくなった。遠巻きにしていた村の住人はこぞって関わりたくないとクラウドを忌避した。

周囲の者達がクラウドを忌避する理由はわからなかった。でも、村で昔から言われていた"ニブル山に登れば、死んだ人に会える"という言葉を鵜呑みにして、クラウドは小さな足で懸命に山に登った。自分にはお守り代わりの宝玉しかなかった。それを両手で抱きしめて、両親を想った。

どこをどう歩いたのかもわからない。不思議とモンスターに遭う事も無く、奥へ奥へと誘われるように足を進める。気付いたら目の前には光る泉があった。

目の前に広がった不思議な光景に、クラウドは思った。ここに、お母さん達がいるかもしれないと。


クラウドはマテリアを握り締めたまま泉の中を覗き、そしてふらりと泉の中に落ちたのだ。




気が付いた先は、見たことも無い世界だった。空に浮かぶ星はとても近く、左右で昼と夜が混じった様な空をしている。寒いのか暑いのかもよくわからない。周囲を見渡せば、森林が多い茂っているその直ぐ横で、砂漠が広がっているという不思議な世界だった。
その頃になってようやく、自分は何かに抱きかかえられている事に気付いた。そして直ぐ横には白い大きな馬がいた。その馬の足は6本もあって、クラウドは目を瞬く。

見上げた先には甲冑を纏った大きな男がいた。甲冑に覆われて表情は見えない。だが、片目が見えていない事はなんとなくわかった。そして、とても懐かしい気がしたのだ。この存在を、自分は身近に感じていたはずだ。

頭の中に聞こえてきた声に、クラウドは驚いた。久しく会話というものをしていなかった気がする。
そして、オーディーンだと名乗ったその男は、全てを教えてくれた。


世界の理に始まり、そして最後には、自分とオーディーンの事を。

自分の名前の意味を知って、ようやく村人から忌避される理由がわかった。尚のことクラウドは一人ぼっちだと思った。両親にも会えなかった。だけど同じ名の意味を持つ、唯一の存在がそこにいた。



一人ではなかったのだ。クラウドは両親が死んで、初めて声を上げて泣いた。




***




セフィロス達はニブル山に入った直後に、頭上で旋回しながらで鳴く、二羽のカラスに遭遇した。


「うわっ、山に入った途端これかよ。縁起わるー」


カラスを見たザックスがそう独り言ちる。死体に集るカラスは、縁起が悪い象徴でもあった。そのカラスを目に留めたセフィロスが怪訝な顔をする。


「……まさか」

「どうした、セフィロス?」


アンジールの問いには答えず、セフィロスは周囲をぐるりと一巡する。そして、ある一ヶ所でピタリと視線を止めた。それに怪訝な顔をしたアンジールが、何かいるのかとセフィロスの目線の先を見る。


「ニブルウルフ……?」

「なんだあれ……? なんかでかくねーか?」


崖の上で、二頭のニブルウルフが此方を伺っていた。ザックスの言う通り、標準のニブルウルフより一回り体格が大きいと思われる。だが戦闘をしかけてくるような様子は無く、むしろ悠々と構えていた。

だが、頂上へ進むに連れて、二羽のカラスと二頭のニブルウルフも付いて来ているということに、他のメンバーも薄々と気付き始める。


「……なんか、おかしくねーか?」


休む間もなく次々と現れるモンスターの数が尋常じゃない。それより、幾度と無く狼の遠吠えらしきものが頻繁と聞こえている。
そしてようやく気付いた。崖の上の狼が遠吠えをする毎に、モンスターが現れているということに。


「気付くのが遅いぞ。それでも同類なのか?」

「どういう意味だよ、おっさん!!」

「ああ、すまない。お前は駄犬だったな」

「俺は犬じゃねー!!」

「ザックスで遊ぶなセフィロス! ザックスも集中!!」


飛び掛ってくるニブルウルフを避けながら、アンジール達は次々とモンスターの数を減らしていく。
任務中に他の事で遊ぶというセフィロスは見たことが無い。恐らく、相当に機嫌が良いのだろう。アンジールはこんなにも楽しそうに戦闘をしているセフィロスを見たのは、こっそり隠れてジェネシス達とトレーニングルームを半壊させるまで戦い合ったあの時以来だ。

襲い掛かってくる最後の一匹をザックスが仕留めたその横で、なんとセフィロスは頭上で旋回を続けているカラスに向かって、ファイアを数発容赦なく放った。


「セフィロス!?」


流石に動物虐待だとアンジールが眦を吊り上げた瞬間、予想にもしない事が起きた。
なんと、カラスにファイアが当たる寸前で、シールドが展開し、セフィロスのファイアが此方目掛けて降り注いだのだ。


「うわああああ!」


頭上から炎の塊が幾つも降り注げば無事では済まない。更にセフィロスのファイアだ。
常人が放つファイアの何倍もの威力を誇るそれは、目前に迫った。
しかし次の瞬間、セフィロスの正宗が一閃し、全てのファイアが掻き消える。
その頭上ではやはりカラスが旋回していた。だが、次の瞬間、ニブル山の頂上へ向かってカラス達は去っていった。

呆然と去っていくカラスを見守っていたザックスは、隣で笑っているセフィロスに気付いた。


「なんなんだ、アンタ……」


奇妙なものを見るように、ザックスはセフィロスから一歩引いてしまう。


「ここまで偶然が一致しているとは思わなかった」

「……御伽噺か?」

「ああ。予想以上だ。これは御伽噺ではなく、正に実話の様だ」

「なんだと?」


怪訝な顔をするアンジールを横目で見ながら、セフィロスは正宗を一閃し、血糊を飛ばす。
そしてまた、何事も無かったかのように頂上へ向かって歩き始めた。その後ろから、アンジールが溜息と共に疑問を投げかけた。


「いい加減説明してくれ、セフィロス。俺達には何が何だかわからない」

「オーディーンの御伽噺の中で、一致する部分だけ掻い摘んで話そう」

「一致?」

「オーディーンは戦神だと言われている。その名の意味は"狂乱"、"激怒"。そして"災いを引き起こす者"」

「ちょっと待て、闘争と意味が似ているぞ……」

「そうだ。子供の名前の意味とオーディーンの名の意味は、戦争の引き金となる原因だ」

「おい……それは……」

「更にオーディーンは、人と召還獣のハーフだと言われている」

「なんだと!?」

「推測だが、子供は恐らくオーディーンと血縁関係があるだろう。もしくは子孫に当たる人物かもしれない。それならば、何らかの形でオーディーンと意思疎通が出来るのも頷ける」


アンジール達は絶句するしかなかった。そして、更にセフィロスは続ける。


「オーディーンには6本足の愛馬の他に、使い魔の様な存在がいる。それがワタリガラスの二羽と二頭の狼だ」

「さっきのやつか!?」

「恐らく此方を監視しているのだろう。それとも時間稼ぎのつもりか……。オーディーンは戦神でもあるが、本質は貪欲なほどに知識を欲しがる存在だ。魔法を得る為に己の片目を代償に差し出したとあった。他にも知識と魔術の神という別名もある」

「おいおい、どんだけだよ……」

「子供の周辺に大人はいない。なのに高難易度の魔法やお前達2ndの治療を行っている。子供の身近にいる存在はオーディーンだけだ。恐らく、」

「オーディーンがクラウドに教えている……?」


そうだ、と想像を絶するような答えが返ってきたのだった。









拍手ありがとうございます!
ブログをあまり使っていないからとブログで連載を始めたら、なんだかここ最近人が凄く来て驚いています。
いや、ピクシブがすごいんですね……。
すぐサーチを抜けたりする逃亡癖の強いビビリの自分は大それた事をしたとビクビクです。
でも、それと比例して拍手とか頂けてやる気も頂いているので、ありがたやと書き書き…!
このテンションのまま、一気に書き上げてしまいたいです。(設定ネタバレしたし。笑)

もう少し続きますが、お付き合い下さると幸いです。宜しくお願いいたします。

拍手[11回]

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ちびっ子クラウド奮闘記。9

ニブル山に登る前にいくつか確認することがあった。セフィロスは戦闘の準備をしながら、ザックスに確認する。


「ニブル山に泉と橋はあったか?」

「泉と橋? 橋はある。あと、普通の泉じゃなくて、珍しい魔晄の泉ならあった。かなり奥だけど……」

「魔晄の泉か……なるほど。それとツォン」

「なんでしょう?」

「あの男から子供のフルネームを確認して来い。あと”ストライフ”という名前の村人もついでに確認しろ。この村にいるはずだ。そして子供との接点も」

「了解しました」


説明も無しにやりたい放題のセフィロスに溜息を吐いた。セフィロスがこうなると手がつけられないのは分かっている。セフィロスに今すぐ問い質したいが、アンジールはザックス達の容体の確認を最優先することにした。


「瀕死だと聞いたが、もう大丈夫なのか?」

「クラウドが治してくれたから大丈夫!」

「治してもらったとしても不安は残る。準備が整うまで救護班のメディカルチェックを簡単に受けろ。ドラゴンと戦うんだ。それなりにこちらも体制を整えないとな」

「了解~!」


救護班が待機している村の外まで走っていく四人の弟子達の後姿に、アンジールは何度ともわからない溜息が漏れた。
瀕死だと聞いていたがザックスの様子に杞憂だったと思ったのだが、詳しく聞いた所とんでもなかった。
ザックスは体勢を整えようと一旦戦闘から離脱するが、それでも相当追い込まれていたらしい。立てなくなって剣も握れなかった状態だったという。

他の三人は即死に近かった。二人は半分ほどドラゴンの炎で身体が焼け焦げていたらしい。細胞が炭化していたら手の施しようがなかっただろう。クラウドが駆けつけてくれなかったら四人は確実に死んでいた。アンジールは感謝してもしきれない。

見た所、四人には後遺症も無いように思える。確かにソルジャーの回復力は普通とは違うが、この短期間でここまで回復させる事が出来る魔法力と技術を持っているというのも素晴らしい。
やはり、8歳の子供の謎は深まるばかりだ。しかし、セフィロスはその謎の糸口を掴んでいるように思う。


「セフィロス、俺には説明してくれないのか?」

「検証がてら説明する。どこまで"偶然"が符合しているかわからない」

「符合? その"偶然"とは御伽噺のことか?」

「そうだ」

「御伽噺を信じているのか……?」

「では逆に問おう。なぜ見たことも無いオーディーンの御伽噺が存在する?」

「想像の産物……ではないか。あれには流石に目を疑った」


先程、己はその目にしたばかりだ。伝承通りの姿をしたオーディーンの姿を。


「敵としてオーディーンと対峙した者は確実に殺される。だが、なぜ伝承は残っている? 考えられる可能性は一つだけだ」

「オーディーンを召還した者……」

「そうだ。だが、俺達が他の召還獣を召還しようとも、召還獣の事などわからない。そうだろう?」

「言われてみれば確かに……」

「だが、伝承にはオーディーンの実態が事細かに書かれていた。それこそ妄想の後付だと思っていたが、そこで妙な符合を見つけた」

「妙とは?」

「それを検証する」


ニヤリ、と笑うセフィロスは実に楽しそうだ。

そこでツォンが戻ってきた。ツォンも説明を求める顔をしていたが、セフィロスからの命令を優先している辺り、アンジールはタークスの凄さを感じる。ザックスのことを言えた義理ではないが、どちらかといえば感情的になりやすい自分はタークスは向いていないとつくづく思う。


「村長より確認して参りました。"ストライフ"とは子供の性だそうです」

「……クッ」


珍しい事が起きた。あのセフィロスが声を出して笑っている。これにアンジールとツォンは思わずといった風に、お互いの顔を見合わせた。一体何事かと疑問は深まるばかりだ。


「クラウド・ストライフとは恐れ入る」

「"闘争の兆し"か。凄い名だ」

「ここまで符合するとなると、やはり親族か」

「親族だと? セフィロス、それはクラウドと誰のことだ?」

「"ストライフ"は、オーディーンの御伽噺の作者の名だ。作者の出身地はニブルヘイム。子供と親族関係ということだ」

「なんだと……?」

「他は道すがら説明しようか」


メディカルチェックから戻ってきたザックス達が此方へ走ってくるのが見えた。


神羅兵とツォンは村に残り、村を監視しながらクラウドの事を調査することになった。シスネはセフィロス達と同行する。その際に、セフィロスの説明を聞いておくようにとツォンに釘を刺されていた。

セフィロスとアンジールの1stソルジャー、ザックス、カンセル、エッサイ、セバスチャンもニブル山へ同行することになった。ザックス以外はいらないとセフィロスは言うが、アンジールはソルジャーの残り三名が同行したがった理由がわかった。


「ターゲットに入れ込むなと注意するのはザックスだけじゃ足りなかったな」


アンジールは苦笑するしかなかった。








すごい勢いで書きなぐってる自分がいることに驚いています。
いつもこうならいいのに……。汗

拍手[7回]

ちびっ子クラウド奮闘記。8

「うそつき」


ボソリと吐かれた言葉は、ザックスの胸を抉った。






***






「村長! た、大変だ! 神羅が……!!」


息も絶え絶えに村人が駆け込んで来て、家の戸口でそう叫んだ。
村長は、たまたま隣に居あわせた村人達と目を合わせ、村人が指を指す方向を見る。そこには軍用車両数台が土煙を上げながら村に向かっているのが遠目でもわかった。上空にはヘリが三機も飛んでいる。まるでこの村に攻め入る様な光景だ。

突然の出来事に村人達は呆然と見守るしか出来なかった。村の入り口の手前で装甲車が止まり、中から次々と神羅兵が降りてくる。兵士の数は大よそ10名満たない程度だったが、列を作り点呼を取り始めたその横に止まった高機動車から降りてくる人物の中に一人、目立った風貌の男が姿を現した。

銀の長い髪を風になびかせながら、長身の男がゆっくりと村の方へ目を向ける。


「英雄、セフィロス……?」


聞こえないはずの村長の呟きがまるで聞こえたかのように、ふっと村長達に顔を向ける。
目が合った、と感じた瞬間、村長の背中にぞわりと悪寒が走った。恐怖とも畏怖ともつかないそれに、村長は全身に冷や汗をかく。

ヘリから降りてきたのはスーツ姿の男女だった。軍隊の中でスーツ姿というのは酷く目立つ。
そして、そのスーツの二人とセフィロスともう一人、大きな剣を背負った男が村へ先頭に立って村へ入ってきた。この男の服装は村にいるソルジャーと同じものだから、この男もソルジャーだろう。他の兵士は、村の外で待機しているようだ。


「な、何の用だ。あんた達……」

「驚かせてすまない。うちのソルジャーが四名、そちらで世話になっているはずだ」


大きな剣を背負ったソルジャーがそう切り出した。クラウドの家で世話になっていると言っていた男が言っていた迎えとやらだと気付いた途端、村長が怒鳴った。


「な、なんのつもりだ! あんた達はあいつらの迎えじゃないのか!? まるで村に攻め入るみたいじゃないか!!」

「確かに迎えでもあるが……」

「アンジール。あの駄犬を先に連れ出した方がいいんじゃないか?」


セフィロスの一言に、アンジールは溜息をこぼす。駄犬はやめろと何度も言っているだろうと溢し、四名のソルジャーの居場所を村長に聞く。


「そ、そこの家だ。さっさと連れて帰ってくれ!」

「確かに連れて帰るが、我々はもう一人だけ用がある」


今度はスーツ姿の男がそう切り出した。その横でセフィロスは自分は用は無いとばかりにソルジャー達がいる家へと向かって行く。おい、待てと、もう一人のソルジャーの男がセフィロスを追って行った。
唖然としながら村長はそれを見送りつつ、スーツの男が言った言葉を繰り返した。


「もう一人だと……?」

「クラウド、という少年がこの村にいるはずだ。彼に会いたい。それと彼の事を教えてもらおう。抵抗や拒絶は認めない。すればそれなりの対処をする」

「な……!」


村長と、その後ろにいた村人達は目に見えて真っ青になった。





***





「……?」

「クラウド? どうした?」

「外が……うるさい気がする」

「き、気のせいじゃないか? それよりさ、いい加減に俺と友達になってよ、お願いだって」

「きょうみないね」


ここ最近、毎日のように繰り返される言葉のやりとりは既に見慣れた光景と化してきた。
ただ最初と違うのは、戸惑いながら恥らっていたクラウドが、しょぼくれるザックスを面白がってザックスのお願いを拒否している所だろう。
この年齢の子供が見せる天邪鬼な所が少しだけ出てきたクラウドに、ソルジャーの四人は微笑ましさを覚えていた。

だが、それも今日までなのだと、四人の胸の内は複雑だ。外のざわめきの理由はわかっていた。


コンコン、と扉をノックする音がした。その音にクラウドは目を見開いた。この家に人がやって来ることなどないと、その顔が物語っている。それに複雑な思いをしつつ、ザックスが立ち上がってクラウドに言った。


「俺達のお迎えが来たみたいだ」

「………」

「クラウド、ドア開けてもいいか?」

「……うん」


途端、俯き無表情になるクラウドに、四人は胸を痛める。
クラウドは誰よりも別れの意味を分かっている。だからこそ無表情を努めるのだろう。
カンセルが扉へ向かっていったその横で、ザックスがクラウドの目線に合わせてしゃがみ、話をする。


「なあ、クラウド。話があるんだ」

「……」

「これから、凄く悲しい話をしなくちゃいけない」

「………わかってる」

「いいや、違うんだクラウド。俺達のお別れの話じゃないんだ。クラウドが大事に見守ってる奴のことだよ」

「え?」

「俺達が怪我をした理由を、俺達は言わなきゃいけなかったんだ。ごめん……」

「……どういうこと?」

「ドラゴンは俺達が討伐するということだ」


途端、戸口の方から聞こえてきた声に、クラウドはビクリと肩を揺らし声のした方へ顔を向けた。そしてその大きな目を見開いた先にいたのは銀髪の男。


「おっさん、アンジール……」

「……だれ」


警戒心丸出しのクラウドに、ザックスは顔を歪めながら事実を伝えた。


「おっさん達は、俺達よりも”強い奴”」


ザックスの言ったその意味が分かったクラウドは、再度セフィロスを見る。ザックスたちは言っていた。ドラゴンが目的だったら、自分達より"強い奴"が来る、と。


「なんで? お兄ちゃん達は、ドラゴンが目的じゃ無いって言った!」

「俺達の目的はクラウドを見つけることだった。それは間違いじゃない、だけど……」

「あー、話の腰を折ってすまないが、きみがクラウドか?」


険悪になりつつある空気を、アンジールはわざと変える。クラウドからは鋭い睨みと、無言の返事しか返ってこなかったが、ザックスは頷く。

アンジールはクラウドの目線までしゃがみ、にこりと微笑んだ。


「俺の弟子達の命を救ってくれてありがとう。本当に感謝する」


そう言って、アンジールはクラウドの手を握り、己の額にその手を当て、祈りを捧げる風に頭を下げた。その姿は、アンジールがバスターソードに祈りを捧げる姿と同じだ。

急に感謝の言葉を言われると思っていなかったクラウドは戸惑っていた。そして、暫くしてボソリと別に……と言い、顔を少し赤らめた。その瞬間、険悪になりつつあった周囲の空気が霧散した。それに気付いたセフィロスを除く周囲のソルジャーは安堵する。

その体勢のまま、アンジールはクラウドの説得を試みた。


「ザックス達は、怪我をした理由を俺達に報告しなきゃいけなかった。そしてドラゴンがいる場所がとてもまずい場所にいることがわかったんだ。このままだと、村が危ない。だから俺達が来た」

「ドラゴンは村へは来ない、そう約束した!! 卵が孵れば、ここから出てくって」


アンジールの説得に、クラウドがそう叫んだ。すると、それまで黙っていたセフィロスが急に身を乗り出し、細いクラウドの肩をわし掴む。


「お前が"約束をした"相手は誰だ」

「な……」

「お前は誰と”約束をした”? ドラゴンではないのだろう? いや、何かを介して"約束した"はずだ」

「セフィロス!!」

「やめろよ、おっさん!」

「お前が相手を言わなければ、俺はドラゴンを葬る。そして卵は貰うぞ」


ニヤリと言い放ったセフィロスにクラウドは青ざめた。霧散したはずの険悪な空気が戻ってくる所か、最悪なものへと変化した。その変化は、クラウドの顔に顕著に現れる。

無表情になったクラウドは、アンジールの手を振りほどき、ザックスに向かって言い放った。


「うそつき」

「ク、クラウド……」

「ともだちは、こんなことしない!!」


目を見張ったザックスを尻目に、クラウドは外へ飛び出した。
まずい、捕まえろとアンジールが命じながら、ザックス達も急いで飛び出す。クラウドはニブル山の方へと走っていった。
子供の足ならば追いつくことは簡単だ。ザックス達がソルジャーの本流を発揮しようとしたその時、強い魔法の波動を背後から感じた。ソルジャー達は、ぎょっと身を竦ませる。


「何……!?」


アンジールは目の前の光景が信じられなかった。まるでクラウドを浚うように、後ろから六本足の馬が駆け抜け、その馬に乗った大きな体躯の騎士がクラウドを掬い上げたのだ。
そのままオーディーンとクラウドを乗せた馬は空を駆け、ニブル山の頂上へと消えていった。

クラウドの家の前にいた村人達とタークスの面々も、その光景を目撃していた。
呆然と見守るその中で、村長だけが頭を抱え叫び出す。


「あの疫病神が……!」


その叫び声で、奇しくも周囲の人々は正気に返ったのだった。





***





「どういうつもりなんだよ、おっさん!」

「ザックスやめんか!」


ザックスはセフィロスに食ってかかった。前もって電話で伝えていたことが全部無駄だったとザックスは怒る。


「吠えられる元気があるなら大丈夫だろう。案内しろ」

「は? 何言ってんだアンタ」

「ドラゴンがいた場所まで案内しろと言っている。あの子供が向かった先はそこだ。急がなければ、子供がドラゴンをけしかける可能性があるぞ」

「なんだと!?」


ドラゴンが殺されると知った子供がどういう行動に出るか想像に容易い。この場から逃がそうとするなら、どうするか。ドラゴンがこのニブルヘイムに逃げるに至った行動と同じ事をするのは当然ともいえた。そして攻撃されたドラゴンが怒り、村へ報復しにくる可能性も捨てきれない。


「ドラゴンを攻撃して逃がそうとする……?」

「その可能性が大きい。だが、子供の言い分だとドラゴンとも意思疎通ができそうなそぶりだが」

「セフィロス、先ほどお前が言っていたのはどういうことだ?」

「色々と検証する必要はあるが……、ツォン」


セフィロスに呼ばれたツォンが、一歩前に出る。それを横目で見ながら、セフィロスは伝える。


「そこの男は子供と召還獣の関係を少なからず知っているはずだ。吐かせろ」

「了解しました」

「セフィロス……?」

「御伽噺の検証をする必要がある。火の無い所に煙は立たぬとはよく言ったものだ」


セフィロスは正宗を携え、ニブル山を見据えて笑う。その実に楽しそうな様子に、アンジール達は嫌な予感が隠し切れない。

一方、クラウドとオーディーンの関係性を吐かせる為に神羅兵に拘束された村長の顔は、死刑宣告を受けたかのように真っ青になっていた。











やっとセフィロスとクラウドが出会ったー!!!わーい!
なんかもう、クラウドとオーディーンの設定がバレてる気がしなくもないですが、謎解きを楽しんでるセフィロスが書けたらいいなって思います。

まあ、ありきたりな設定なので、バレバレだと思うのですが、見守っていてもらえると嬉しいです。頑張ります。

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