セフィロスの説明を聞いていたザックスは、口をあんぐりと開けて驚愕した。
「俺、オーディーン出てきたときに、ご家族の方ですか? ってオーディーンに聞いちまった!」
あながち間違いではなかったと興奮気味に話すザックスに、アンジールは頭が痛くなってきた。伝説の召還獣に向かってこいつは何を口走っているのか。
オーディーンが機嫌を損ねる可能性など端から頭にも無い様子だ。一応なりとも将来ザックスは有望株なのだが、こんな調子でソルジャーが勤まるのかとアンジールはこれからの事を考えてしまい、また溜息をこぼした。
「その……なんだ。正直な所、召還獣に魔法を教えられているというのは納得し難いな」
「これらの事を踏まえて考えた方が子供の謎は納得できる。この世界には星と対話する、などという種族もいるくらいだ。召還獣と対話していると言われる方が俺は納得できるが」
そういえばそうだった。セトラの民と呼ばれる人々は、星と対話できると伝承にあり、神羅の社長が信じ込んでいるではないか。抽象的な星と対話する、などという宗教的なものより、召還獣との対話の方がより現実的だろう。まして伝説と云われていた召還獣を目の当たりにした直後とあっては。
「そういえば、オーディーンが魔法を教えてるって言っても、クラウドはマテリアとか召還獣って知らなかったぞ?」
「お前は馬鹿か。召還獣が自分は召還獣だと自覚しているとでも思っているのか? 召還獣とは俺達人間が決めたただの名称に過ぎん。魔法に関してもだ。この世界ではマテリアを介す手段があるとしても、モンスター達はマテリアを使っていない。つまり他の世界から召還されている者はマテリアを使わなくても魔法が使える可能性のが高い」
「え……それって」
「子供はマテリアの存在を知らなかった。だが、魔法を使っている。それから導き出される答えは一つ。子供はマテリアを使わずとも魔法が使えるということだ」
「やっべーーーー!! クラウド超スッゲーーーーーーーーーー!!!」
セフィロスの説明にザックスは鼻息を荒くする。他の者はもう何も言えず唖然としている位だ。こんな存在が今まで隠匿されていた事に驚きを隠せない。
スカウトに留まる様な存在では無いことがわかった。なんとしてでも手に入れたいと誰もが思うだろう。それは他の者も同じである。神羅に敵対している者達に知れたらと思うと気が逸る。セフィロスがご機嫌な理由が分かった気がした。
「閉鎖的な村のお陰で存在が知られずにいたのだろう。いや、名前からしてそういう役割を担っていた家系なのかもしれんが」
「名前って、闘争とかいう名前のせいで村人達から嫌がられてたってこと? クラウドのせいじゃないだろ!」
「忌むべき名前というのは時にして使うことで魔除けとして使われてきた時代がある。だが、近年では昔の習慣を忘れ、見たままで判断することが多い。子供の場合はこれだろう」
「天候の名前というのも、確かに珍しいな」
「ああ、そういえばオーディーンとの名が示す共通点はもう一つあったな」
「なんだそれは?」
「オーディーンは風を司る天候神とも謂われている」
もう、御伽噺の偶然の一致とはいえないだろう。セフィロス以外の者は唖然とするしかなかったのだった。
***
一頻り泣いた後、クラウドは懸命にごしごしと目元を拭う。次から次に溢れる涙を止めようとするのを、オーディーンが優しく制した。
クラウド自身、泣いている場合では無いと頭ではわかっている。なんとか涙を止めようとするが、自制できないでいるらしい。大丈夫だとオーディーンは諭すようにクラウドの頭を撫でた。
涙は流れたままのクラウドだったが、大丈夫そうだと判断したオーディーンはドラゴンの元へ説得へと向かった。
その途中で、ワタリガラスの二羽と狼の二頭と合流する。スレイプニールの足に合わせ、両脇から走ってくる二頭に、クラウドは声をかけた。
「ゲリとフレキ。どこにいたの?」
貪欲なる者、という意味を持つフレキと呼ばれた狼がワオン、と声を発した。
「あいつ等、ここに向かって来てる?」
ワオーン、と同等の意味を持つゲリと呼ばれた狼もまた返事をした。その横で、ワタリガラスがオーディーンの真横を飛行する。オーディーンはワタリガラスから状況を聞いているようだ。
頭の中で聞こえてきたオーディーンの声に、クラウドは青くなる。今までの奴らとは違って、あの銀髪の男は段違いに強いらしい。このままでは確実にドラゴンは殺されてしまい、卵は奪われてしまうだろう。
「フギン、ムニン。またあいつ等を見てきてくれる?」
ワタリガラスのフギンは思考という意味を持ち、ムニンは記憶という意味を持つ。このワタリガラスは世界中を渡りながら知識を蓄え、オーディーンに報告する役割を担っていた。
空から監視できる存在はとても心強い。あの銀髪の男が来る前にドラゴンを説得しなければならない。
クラウドの言葉に、フギンとムニンはまた来た道を旋回し戻っていった。
クラウドは頭の中で状況を整理する。オーディーン達より、遥かに力を持たない自分に出来ることは少ないかもしれないが、なんとしてでもドラゴンと小さな命を守りたい。
クラウドはオーディーンと共に前方を見据えた。気付けばいつの間にかクラウドの涙は止まっていた。
拍手とコメント有難うございます!
他ではあまり見ない設定ですねとコメントを頂いてしまって誠に恐縮です…。
二番煎じだろうと思っていたので有難くも本当に吃驚しています。
気楽に何か書いてみたいな~なんていう話じゃなくなってますね。気楽とな…?
コメントのお返事はPCサイトのお返事とご一緒させて頂いています。
いつもありがとうございます。
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